未分類

過去10年で6勝! 凱旋門賞でなぜ、3歳馬が強いのか?

Pocket

欧州、いや世界の芝レースの最高峰のタイトルとして知られる凱旋門賞。世界各国から毎年のように挑戦馬が集まることで知られていますが、年齢も様々。凱旋門賞の出走条件は3歳以上であればどの馬でも出走できるので、3歳以上の馬の目標として、凱旋門賞を目指すトップホースが多くいます。

一般的に競走馬の能力が成熟するのは4歳の秋といわれていて、凱旋門賞が開催される10月はまさに4歳馬がピークを迎えるようになっています。そのため凱旋門賞は4歳馬が有利と思われがちですが、実は過去95回の開催で、凱旋門賞を最も多く勝っているのは3歳馬たち。

その数は59勝。ざっくり言っても3回に2回は3歳馬勝利していることになりますし、実際に過去10年の凱旋門賞で3歳馬は6度このレースを制しています。

そもそも、凱旋門賞でなぜ、3歳馬がここまで勝っているかは様々な理由が挙げられます。ひとつは斤量差。 4歳以上の馬は牡馬で59.5キロ、牝馬が57キロですが、3歳馬は牡馬が56.5キロ、牝馬は55キロとかなり軽量となります。極端な例でいえば、4歳牡馬と3歳牝馬とではその差は4.5キロとかなりの差が出ます。

競馬界では斤量1キロ差=0.2秒=1馬身差と考えられているので、ざっくりでいうと3歳牝馬は4歳牡馬よりも4馬身半(約0.9秒)ほどのハンデをつければちょうどいいという解釈をされていますが、これだけの斤量差がつくとさすがに3歳馬有利となるケースがままあります。代表例として挙げられるのが06年の凱旋門賞でしょう。

この年の凱旋門賞で1番人気に支持されたのは日本からの遠征馬ディープインパクト。4歳の秋に遠征したため、ディープインパクトが背負った斤量は59.5キロ。この年の凱旋門賞は8頭立ての少頭数でしたが、そのうち4頭が斤量56キロ(当時)の3歳馬たち。ディープインパクトよりも約3.5キロも軽い斤量でした。

ディープインパクトはこのレースで直線伸び切れずに3着に敗れ、レイルリンクの前に敗れ去りました。この時のレイルリンクが56キロを背負っていましたが、ディープインパクト都の着差はクビ差+半馬身差。前述の斤量計算でいえば、かなりレイルリンクに有利な斤量設定だったことがわかります。

そのため、日本馬が凱旋門賞を制するためには3歳馬が出走すべきでは?という論調がこのころから生まれ、実際に13年にはキズナ、14年にはハープスターがそれぞれ3歳馬として出走を果たしています。くしくも2頭ともディープインパクトの産駒という点が興味深いポイントでもあります。

凱旋門賞で3歳馬が強い理由としてもう一つ上がるポイントが強い古馬勢の不在。特に近年この傾向が顕著といわれています。

というのも、凱旋門賞の距離が長いとして、2000m前後の中距離戦に照準を絞る馬、もしくはアメリカのブリーダーズカップに狙いを定める馬が現れたことが凱旋門賞への出走を妨げる要因となりました。

古馬のトップホースが凱旋門賞に出走しない理由として挙がるのは種牡馬としての価値。特に欧州はトップホースが種牡馬入りする際、戦績を強く気にする傾向があります。仮に凱旋門賞で大敗して種牡馬入りした際の価値が下がるなら、いっそ出走しないで引退したほうがいいという考えをするホースマンは少なくありません。

日本ではまずない逃げの姿勢ですが、欧州では常識ともいえるレベルのこと。種牡馬ビジネスを考えると極めて妥当な行為とも言えます。馬場が緩んでいる(もしくは乾きすぎ)という理由で直前になって出走を取り消すというのも大敗したくないという思いから生まれています。

そしてもう一つは「あらゆる距離への対応を見せること」が挙がります。これは近年顕著に表れている考えの一つで、種牡馬入りした後に2400mのみの適性ではなく、様々な距離で活躍したという実績が必要と考えての出走ということです。

例えば、主な勝ち鞍に英ダービーと凱旋門賞という馬と、英ダービーと英チャンピオンS(芝2000m)を制した馬であれば、どちらが種牡馬として価値があるかといわれると後者のほう。というのも前者は2400mの大レース2つなので、スタミナがあるのはわかりますが、2歳戦に向くスピードがあるかは未知数。一方で2000mの大レースを制した実績がある馬なら、「スピードもある」と考えられるのが種牡馬の世界。そのため、幅広い距離で対応できるように仕上げていくというのが最近の競馬界のトレンドにもなっています。

凱旋門賞から少し離れますが、近年最高の名馬と称される14戦無敗のフランケルも主戦はマイルでしたが、徐々に距離を広げ、最終的に2100mのインターナショナルSを制しました。これと同様のケースが凱旋門賞にも起こっています。

斤量、種牡馬入りの理由など、様々な理由で3歳馬が強い凱旋門賞。日本馬が勝つにはやはり3歳馬の出走がマストとも言えそうですが、秋の菊花賞、秋華賞などのクラシックレースを蹴ってまで向かう馬がいるか…今後注目ともいえるでしょう。