未分類

勝てば3分の1で選ばれる!? 凱旋門賞とカルティエ賞の関係性

Pocket

日本の競馬にはJRAが決定するJRA賞という表彰制度がありますが、もちろん欧州にもあります。各国でそれぞれあるのですが、欧州競馬はひとくくりで決めるのが一般的。その中で最も権威ある賞がカルティエ賞。アメリカのエクリプス賞に倣う形で制定されたものですが、創設は1991年と意外なほど新しい賞です。

欧州の年度代表馬が決まるだけに、当然各国の大レースの成績が重要視されますが、その中でも別格となるのが凱旋門賞。実際に91年から始まったカルティエ賞で過去26回を数えますが、当年の凱旋門賞を制した馬が選出されたケースは9例もあります。

しかし、創設当初のカルティエ賞年度代表馬にはなかなか凱旋門賞馬が選出されませんでした。その頃のカルティエ賞年度代表馬を見ると以下の通りです。

91年:アラジ

92年:ユーザーフレンドリー

93年:ロックソング

94年:バラシア

95年:リッジウッドパール

91年のアラジはこの当時、まだ2歳の若駒。欧州馬ながらアメリカのBCジュヴェナイルを大差で制したことで高く評価されました。翌92年も凱旋門賞の勝ち馬スボーティカではなく、2着だったユーザーフレンドリーが受賞しました。さらに凱旋門賞に残る大波乱があった93年は勝ち馬のアーバンシーは選ばれず、ロックソング。そして94年は凱旋門賞に全く縁のないバラシアが選出されました。

この4年間の凱旋門賞といえば、93年のアーバンシーをはじめ、いずれも穴馬が制したケースばかり。カルティエ賞年度代表馬は年間を通じて活躍した馬を表彰するものだけに一発屋タイプの馬というよりも年間トータルで活躍した馬が選ばれていたことがよくわかります。

しかし、95年のケースは競馬ファン、関係者ともに議論を巻き起こす形となりました。この年の凱旋門賞はこの年3戦全勝、欧州三冠を達成したラムタラ。しかし、カルティエ賞年度代表馬に選出されたのはBCマイルを制したリッジウッドパールでした。

確かにこの年のリッジウッドパールは6戦5勝、G1レースも4勝と大活躍を収めたことは事実。しかし、ファンに与えたインパクト、そして71年のミルリーフ以来となる欧州三冠馬という栄誉に輝いたラムタラが表彰されないというのはファンから疑問の声も上がりました。

ラムタラがカルティエ賞に選出されなかった理由として挙がったのが、レーティングの低さでした。奇跡の勝利と称された英ダービーのレートは123ポンドと69年のブレイグニー以来の低さであり、キングジョージは過去10年の中で最も低評価。さらに凱旋門賞を制してのキャリア通算で見ても、130ポンドに推されましたが、過去10年の最低評価でした。

ラムタラは他馬をちぎって勝つというよりも、鞍上のランフランコ・デットーリが「ライオンのよう」と評したように闘志むき出しで走る馬。並んでも抜かせないという勝負根性を見せる馬でした。そのため着差が付きづらく、着差を重視するレーティングで不利だったという見解もあります。

また、ラムタラの低評価は政治的な理由もありました。ラムタラの馬主はドバイのマクトゥーム一族。潤沢なオイルマネーを背景に当時イギリス競馬界で急速に勢力を拡大している一族でした。そのため、欧州の競馬記者たちの反感を買ったという面もあったといわれています。

この時の反響もあってか、翌年以降のカルティエ賞年度代表馬を見ると以下のようになりました。

96年:エリシオ ○

97年:パントレセレブル ○

98年:ドリームウェル

99年:デイラミ

00年:ジャイアンツコーズウェイ

01年:ファンタスティックライト

02年:ロックオブジブラルタル

03年:ダラカニ ○

04年:ウィジャボード

05年:ハリケーンラン ○

06年:ウィジャボード

07年:ディラントーマス ○

08年:ザルカヴァ ○

09年:シーザスターズ ○

10年:ゴルディコヴァ

11年:フランケル

12年:フランケル

13年:トレヴ ○

14年:キングマン

15年:ゴールデンホーン ○

16年:マインディング

○をつけた馬が当年の凱旋門賞馬。96年にはエリシオが2着に5馬身差をつける圧勝で凱旋門賞を制したことがキッカケとなり、凱旋門賞馬としては史上初のカルティエ賞年度代表馬に輝くと、翌年のパンドレセレブルはレコード勝ちをした馬。2頭とも満場一致ともいうべき票数でカルティエ賞年度代表馬に選出されました。

03年のダラカニは勝ち方としてはラムタラのように着差を余りつけない勝ち方だったため、レーティング自体はさほど高くはなかったのですが、03年に6戦5勝、G1レースを3勝しているという点で評価されたと言えます。その後のハリケーンランも同様ですし、07年のディラントーマスは凱旋門賞だけでなくキングジョージの制覇もプラスに考えられました。

もともと日本よりも欧州のほうがマイラーに対する評価が高いため、カルティエ賞年度代表馬にはマイル~中距離戦線の馬が選ばれる傾向があり、凱旋門賞馬は不利になることもありますが、約3回に1回の割合で当年の凱旋門賞馬が選出されているように、価値のあるレースという認識を受けています。

言い換えれば、凱旋門賞を制した馬はカルティエ賞年度代表馬にも選出されやすいといえるはず。今年の凱旋門賞がどんな結果になるかが楽しみですね!